●暇旅日記6:『Abbiamo mangiato molt bene!』

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8月2日 18時半

ハンマームから宿に帰ると、TJさん、AYAさんに加え、ダマスカス大学の講義を終えたHAYAさんが戻ってきていた。外に飲みに行くのはやめ、みんなで食事を作って食べることになったようだ。中庭のキッチンでパスタを作っていたので、それに加わる。トマトにツナ、マギーブイヨンを入れてソースを作った。おいしそう!

パスタをゆでている間、みんなで色々な話をした。
HAYAさんのダマスカス生活のこと、ダマ大で出された宿題のこと、AYAさんのアラビア語がエジプト方言でやや面白いことになっていること(日本だと【外人が関西弁を喋っている】のと同じ感覚)、シーシャ=水タバコ のこと(自宅にあるそうな!)、などなど。

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なんて話に花が咲いたところでパスタの完成。
ちなみに3人が、隣室のイタリア人カップルに『一緒に食べる?』ときいたところ、

『シリアに来てまで日本人が作ったパスタなんて食べたくないね(笑)』

といわれたそーな(もちろん冗談で)。でもでも、このパスタは貧弱なキッチン設備でつくった割には非常においしく、件のイタリア人と会ったらこう言ってやろうとおもった。


『Abbiamo mangiato molt bene!』(=俺たち、メッチャおいしく食べたんだぜ!)

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私は、旅先で出会ったひとたちと、宿でご飯をつくって食べるのが好きだ。(バックパッカー用語で『シェア飯』とよばれているのだけれど、)
異国の食品パッケージを見るのが興味をそそるし、買出しも楽しい。経済的にも、労力的にもとても助かるし。

でもなにより・・・
1つの作業を共同ですることで、人と人との距離がぐっと近くなるような気がする、というのが主な理由なんだと思う。
ブタペストのヘレナハウスで放浪駱駝さん たちとフォアグラ丼つくったり、プラハでやっほーさん たちと食卓を囲んだりしたことは、今でもはっきりと、旅の思い出の特別な1ページとしてきざまれている。


もちろんこの夜だって、とびきりの光景として残っている。

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ご飯を食べたあとは、カシオン山に登ろう!という話になった。
カシオン山とはダマスカス市内にあり、聖書の話でカインとアベルの殺人が起こった所=世界で最初に殺人事件が起きた場所、として有名である。現在では夜景のビュースポットとして知られている。(ちなみにHAYAさんは昼間に一度行ったことあるそーな)

夜の町へと繰り出す4人。
さっそくAYAさんがタクシーと交渉開始。しかもアラビア語でアラビックに。流石エジプトを生き抜いてきただけあって、交渉力スゴイ!(エジプト=中東の関西)複数人に聞き、さらにジモティーに地元プライスを確認して交渉。その甲斐あり、往復で適正価格で行ってくれるドライバーが見つかった。

カシオン山の麓には、アサド現大統領邸があったり、途中に軍事基地と大統領専用核シェルターがあったりして、昼間だと見えるらしい。
流石アメリカに向こうを張ってる国はちがうなーとしみじみ。

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カシオン山に着くと、予想以上の車と人が集まっていた。

わ、ダマスカスが一望!
思ってた以上に大きくてキレイ!!予想以上にイイ。みんなでダマスのことを見直した。きてよかったなあって、しみじみ思う。

詳しくはこちらへ→夜のカシオン山
ジモティーの人もいっぱいのホットなスポット。


最初にカシオン山に登りたいって提案してくれたTJさん、アラビックで交渉してくれたAYAさん、ガイド?解説してくれたHAYAさん、みんながいて登れたんだな、と今になって思う。
旅と出会いの神様に、感謝・感謝。

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宿まで帰ったあとに、近くのお酒屋さんで買い出し。トルコビールと、それからHAYAさんの希望でアラック*1をGET。
近くの公園に行って飲むことにする。そこはキリスト教地区で飲酒してダベっている人多数。ここだけ見ると、イスラム教国じゃないみたいだなー。

いろんな人にからまれますた。その中にはパルミラのシタデルホテルの従業員もいたりして。

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そのあと宿に移動して飲みなおし。夜食にルアイがお餞別でくれたアラビック袋ラーメンをつくって食べた。

味はチキン。オーソドックスでなかなかおいしい。



アラック。これはあまり美味しくない銘柄で、歯磨き粉の味がした・・・。
これはアルバトラ(=ぺトラ)という名前だったので、『観光地名がつけられた酒とかまずい』説が確定。よーするに、名前が”京都”って日本酒なんて信用できない、てノリ。


11時半にこの楽しい宴会はお開き。

そして明日の朝は、みんな別々の道へと行くことになる。

*1:シリア名物の水で割ると白濁する蒸留酒