親愛なる日記への返答

2006_3_11

私が彼のことを考えるのは、彼との間にあった事柄に、まだ見出すべき何かが残っているから?彼との記憶は、私が別の人と寝れば薄れていくのか?徐々に私の体の記憶から、彼の存在を締め出してゆく・・・。

あの時、本当は彼も気づいていたのかもしれない。それを埋めることは、誰と寝たって不可能だということに。
それでもあの時、私が彼の提案に手を貸したのは、私もそうであって欲しいと信じたかったからだろう。誰かが誰かの、いや、誰かがあなたの深い孤独を、恒常的に埋めることができるというフェアリーテイル。

それを私は、自分の持つ女の子の力で受け止めるべきだと、あの時本能的に悟った。その幻想、夢物語を信じたかったのだ、自分自身の為に。私にもまた、そういう何かがあると信じたかった。

彼が求めたものは私の存在ではなく、その背後にある、もっと大きな概念。それが女の子の力、存在というものだ。自分がそれを少しでも持っていたことを知っていた私は、応えてあげたかったんだ・・・彼のために、自分のために。

では私が彼に求めたものは?――彼、彼しか欲しくなかった。彼と、時間と空間と経験と孤独を共有したかったのだ。何故なら彼が、私にとっての大切な何かを持った人だったから。

孤独の共有――それは確かに成功した。
でも貴方が求めるものが、自分には無いということを思い知らされただけ。そして大きな目的・・・彼の望むものが私には無いと彼に感じさせることによって、私は逆説的に説明しようと試みた。そう。貴方の孤独を恒常的に埋めることができる誰か、の存在を。

すべての男の子が、そういった女の子の力を求めているのか?その形に個人差はあるのだろうが。女の子の力、というものは、ゆるぎなく、どこか神秘的で、なだめて包み込むイメージの、女の子だけが持っている力。
男の子が求めるものと、女の子が持つ力が1つにぴったりと寄り添った瞬間――きっとそれが快楽というのだろう。

彼は私を忘れる。そして私も貴方を忘れる・・・でも私の”忘れる”は、貴方のものと異なる。貴方のことを自分の中に取り込んでいくことによって、私と貴方の境界線が無くなっていく・・・
それが私の忘却。