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"音楽と言語はどのぐらい、どう似ているのか?" -菊地成孔氏講演会

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"音楽と言語はどのぐらい、どう似ているのか?"

東京外国語大学通訳コース卒業記念講演にて行われた、菊地成孔氏の講演会に行ってきました。通訳コースのイベントで英語の同時通訳があったため、堅苦しい音楽専門用語を極力使わない、でも滅茶苦茶おもしろい音楽理論のおはなし。

音楽と言語がクロスオーバーしていくとこをブラジルの昔の前衛ジャズ&21世紀型ラップで説明したり、言語的な意味でのシンコペーションを音楽に流用する実験としてバッハのブランデンブルグ協奏曲を5/8拍子に怪変させたり(氏は恐縮しっぱなしでした)。
はたまた音楽と言語の違う部分を、コーネリアスによるロジャー・ニコルスのパクリがどーして音楽的に魅力がうすれちゃったのかを説明しながら解説したり。
実験的で、かつ実証的。実際に音源を流しながらの講演、すーごくすーごく分かりやすく楽しい2時間でした。


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ここからは講演のメモ。取り留めないので後日まとめ直します。

1エルメート・パスコアール

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/エルメート・パスコアール

82年ブラジル 前衛ジャズ。スポーツの中継を反復していく中で、言語が音楽化していく過程の曲

言語の音情報と比べ、12個の音からなる音楽は目が粗い。言語は不安定なままの歌だと言える。言語を聞く時に、平均律を意識した瞬間から音楽になる。

言語は音楽としては複雑なので、切断/反復する。(仏語のアナウンスの一部のみを反復させるDJ的なプレイを示して説明)

言語をメロディにすると近似値にしかならず、音程には微妙な揺れがある。それを切断/反復することで平均律に引き寄せられる。切断/反復がないと、言語は流体で捉えることができない。その作業で音楽が立ち上る。


2ドレイク 

21世紀に入ってから出てきたミュージシャン、シンガーとラッパーの壁を壊した。歌うようにラップする。メロディのように聴こえるけど、メロディのように再帰性が無い。(ラップのフロー)

言語→音楽という先ほどの例とは別の方向からの示唆で、音楽→言語という例。音程がない言葉は話すことができない。

※楽器はたくさんの音が同時になっている。複数の音のハーモニー。どんな楽器でも音程をとればメロディになる。逃げられない、恐ろしいとも言える。


◎シンコペの話

シンコペ=医学・音楽・言語で意味が違う。医学=気絶/失神 。言語=切分法・I have→I've 欠落する。音が落ちるイメージ。

しかし音楽と言語のシンコペは微妙に違う。音楽の時間は伸縮しないが、言語は伸縮する

cf クラーベ(中南米ラテン音楽、5音入る)

シンコ=5ではない、関係ない


では言語のように音楽がシンコペすると?

3ブランデンブルグ協奏曲/バッハ

6/8拍子 6音ずつ  6番目の音を欠落させ言語のシンコペと同じにした音源。

何故ヨーロッパ音楽は5という単位を捨てたのか?→東アフリカ〜中東のイスラムでは5や7がよく出てくる。

6が5になる経験(なかなかないよ!)。スピード感が増す。逆に4に5だと減速して重く聞こえる。


◎和声とメロディーが終わり、あとはリズムだけ。1拍が5になる可能性の示唆。

a)くちびる ライフル ハゲタカ おとす

b)くちびるの ライフルで ハゲタカを うちおとす

c)くちびーるの ライフールで ハゲターカ おとーす

a)=4音なのでリリックが制約を受けた→80s

b)=4音に無理矢理5音のリリック→90sになった

c)bをさらに5音のまま4音のリリックに戻す

00s→人工的に作られた訛り、非常に重要な示唆

違和感だったものが麻痺していき、格好良くなっていく。ファンク、ブルーノートetc...

音楽的な美的を生み出すのは、人工的に作られた訛り。現地のものをそのまま持ってきても、違う。

(cf標準語を作ったのは誰?→ヨーロッパ)


◎ここまでは言語と音楽の類似点。ここからは違いを考えていく

和声進行→音楽 アナロジー的に結ばれている

結句・終止・解決(カデンツァ)、消節点=節句


4ロジャー・ニコルズ/スモール・サークル・オブ・フレンズ/don't take a time

5コーネリアスによるパクリ  の対比

芯が喰えてない=中枢構造を捉えてないパクリ→魅力が減じている(注:パクリは悪ではない)

4の楽曲の特徴

a)メロディーの結句点

b)リズムの結句点

c)和声(コード)の結句点  の3つがズレてる

→追いかけ合う構造=フーガ の技法を オモチャ化したもの

追いかけ合う=恋愛初期の感じ、最後に合流=強度な節句、のちに転調=捕まえた、という曲のストーリーと合致がこの曲の魅力。

渋谷系はこの構造を耳コピできず上っ面のみなぞった構造になった。


バイリンガル =2つ同時に別の言語が想起される。2つの言葉が同時にライムされてても、聞き分けられることができる。

6菊地氏の音源、ライムの実験


質問タイムの話

1)即興はリズム感がないとできない。

時間を律している動き=リズム

リズムは繰り返される、グリッド線をずらすと4拍子に聞こえない。

書くものが複雑であれば、耳でも複雑に聞こえる。即興なのか、大きなグリッドを書くか、複雑に書くか


2)バス/ガス爆発→バスガス/爆発 

と考えると言いやすい。結句点を変える。現在注目が集まっている。


3)言語はモノ情報。言語の結句点は常にある。音楽はバラバラに話しだして、追いかけあっこができるのは対位法の時から分かっている。言語ではできないことを、音楽は簡単にできる。音楽にの力を使って、言語でも追いかけっこで同時に別々のことを聴き取れるかどうかの実験=6の音楽を作った。


4)声調言語は作曲に向かない。抑揚が少ない言語のほうが向いている。声調のために、表現が制約される。音の動きで意味が変わってくる。言語的な倫理、縛りがキツイ。→埋蔵している。中国語のそれが取れた時に、中国語のポップスが爆発的に飛躍する。