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『ノルウェイの森』見てきたよ

ネットで酷評されてたので、どんなんなんだろなーと思って観賞。トラン・アン・ユン監督は過去作をすべて見てて結構好きなので、楽しみにしていました。

結果・・・とっても面白く最後までスクリーンに釘付け 
やー、すごいものを見てしまったというのが最初の感想。トラン監督、かなり挑戦的な作りにしましたなー。原作を読んで、トラン監督の解釈&読解のエッセンスをそのまま映像化した感じ。
だから普段ミニシアター系の映画を見ない人が『邦画』として見に行くとがっかりする。これはトラン監督の新作と思って見に行くのが良い。正直、自分も聞こえてくるセリフを脳内でどっかの言語に変化→字幕、みたいな感じで、いくつかの場面を見てました(笑)。でもその方がしっくり来ると思うよ?

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トラン監督は『生と性』『愛と青春』という原作の持つテーマを、かなり端的な形で取り出して映像として私達の目の前に示してくれた。だから原作と違う部分が勿論あって、そのいくつかの改変は原作ファンの琴線に触れるところがあるため非難轟々なんだろな。でもそれは必要なことだったと思う。
レイコさんのキャラ変更は、自分も原作のキャラが好きだったので『んんーー』と思ったけれど、直子とのコントラストとして"のみ"の役割に徹底させた結果。助かった者と助からなかった者の差がくっきり浮かび上がった。
その結果、『こういう物語だったのか!』と改めて気づかされた部分がいくつもあった。原作を読んだだけでは読解仕切れなかった部分を、今回の映像化からヒントをもらった感じ。また原作を読み返したくなるし、また映画のほうも見に行きたくなった。これって、すごいことだと思う。

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その他個人的なツボ

  • やっぱりトラン監督作品の音楽使いは大好き!だと再認識。『シクロ』のレディオヘッド『Creep』、『夏至』の朝の体操?太極拳?シーンのヴェルヴェッツ『Sunday Morning』、そして今回はなんといってもCAN、CAN、CAN祭り!特にしびれたのが『She brings rain』が流れるレコード屋の緑が出てくるシーン!もう素晴らしくずっぱまり!なんてセンス良いんだ・・・。ニヤニヤしながら見てしまったよー。それでまたブツっと唐突に切る。本当アナーキーな人だ。このシーンだけでやられちゃう。もう最高!
  • そしてそのレディオヘッドから、ジョニー・グリーンウッドが音楽担当。この人もまた良い仕事してる〜!過不足無い表現。
  • 統合失調症』と『性』は切れない関係性があると思うので、そういった観点からも興味深かった。
  • PG-12ってのには???あれはR-15でしょう。15才以下が見ても、エロシーンの衝撃のほうが先にきて、心理面まで読みこめないかと。逆に高校生には大人の注釈つきで見せてもよいとおもった。
  • 細野さんとユキヒロさん、あと村上氏本人が出てるの気づかなかったヨー。ちょっと悔しい。
  • そういえば同じCANの楽曲を使った『モーヴァン』という大好きな映画があるのですが、主題が重なる部分もあり、よく対比して考えてしまいます。クリスマスの日の彼氏の自殺からはじまるこの映画、モーヴァンがその後どうサヴァイブしていくのか。それぞれ『生』というテーマで見ると、両者の映画が違った切り口からせまっていて面白いとおもう。

ひとつケチをつけるなら、ワタナベのモノローグが少し多いなーとおもった。日本のプロデューサーからなんか言われたのかな。もっと言葉による説明をはぶいても良かったような。トラン監督、カットの積み重ねで状況とか心情を説明できる人だとおもうので。『夏至』とか説明的なセリフは少なかったような・・・

それにしても、新春早々から『愛の成就とは?』とか『セックスと男、女について』とか、結構人生の命題みたいな問いを突きつけられたなー。これはテキトーには片付けられない問題だと思っている。